京都大学 国際融合創造センター

INTERNATIONAL INNOVATION CENTER,
KYOTO UNIVERSITY ( KU-IIC )




創造部門  富田 直秀 (教授)

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研究内容  生体・医療工学
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本研究分野の目的は、実際に役立つ医工学治療法の開発である。医療における様々な問題の解決のためには医学と工学の密接な協力関係が望まれているが、医学における「安心」や工学における「設計」の概念はなかなかお互いに理解されにくい状況にある。例えば、単純化された基礎実験は実験系としての信頼性は高くとも、臨床における複雑な情況を再現していなければ本当の安心を作り出すことはできない。また、臨床経験に基づいて工作された医用製品では耐久性などの構造健全性を保証することはできない。臨床は多くの不確定要素を含んでいるにもかかわらず非常に高い信頼性を要求される現場である。医、工、生物学をはじめ様々な分野の研究者が同じ研究室の一員として協力し合って"Clinically relevant" な研究を実践することを目的とした研究室である


1.関節の機能を人工材料で代替する研究

1.1 人工関節用ポリエチレンの疲労及び劣化に関する研究
人工膝関節のポリエチレンの経年破壊が大きな問題となっています。特に膝関節ではポリエチレンに無理な力が加わるために比較的早期に破壊してしまいます。本研究では臨床に見られる生体材料破壊を研究室的に再現し,関節デザインと耐久性との関連を調べたり、高疲労耐性ポリエチレンの開発を行ったりしています。

1.2 人工関節用ビタミン E 添加超高分子量ポリエチレンの開発
 この材料の発見は本当に幸運でした。ポリエチレンの成形を長年手がけておられた方と人工膝関節の問題を話し合っているうちに発案された材料です。最初はあまり期待せずに始めた実験でしたが、ビタミン E を粒界(結晶粒界ではなく、超高分子量ポリエチレンの成形を行う時に不可避生じる不連続面のことです)に含有させることによってポリエチレンの凸面接触滑り疲労環境下での疲労強度が劇的に改善される事実が判明しました(凸面接触滑り疲労環境は人工膝関節に使われたポリエチレンがおかれる力学環境です。ビタミン E の酸化防止効果がこの効果に関係していると思われますが、まだ詳しいメカニズムは不明です。現在、ミクロンサイズの力学的試験や観察方法を用いて詳細に調べているところです。

2.関節の機能を自己の細胞を用いて再生させる研究

2.1 人工関節の代替となる再生治療システムの開発
 軟骨再生の技術が発達しつつありますが、現在の技術では関節に加わる高荷重に耐え得るほど機能の高い関節を再生させることは困難です。私たちは人工関節の技術と軟骨再生の技術とを融合させた新しい発想で何とか人工関節の代わりとなり得る治療法と治療材料を開発しようとしています。



Total Joint Regeneration System
(自分の組織を使って関節を再生させる新しい治療法です)

2.2 軟骨再生用材料の開発
Total Joint Regenerationによって設定された力学環境内で関節構造、特に軟骨の再生を促す材料を開発しています。高分子材料、セラミックスから生体組織まで広範囲の材料の中から可能性を探っています。

主要特許
過去に開発に関わった生体材料とその現状(関連特許件数)

  1. 骨折固定用バンド:株式会社アズウェルより製品化され臨床に用いられている。(国内1)
  2. 高耐久性人工膝関節:奈良医大と共同開発、瑞穂医科工業株式会社より製品化。厚生省認可済み。本年度より使用予定。(国内3、米国1)
  3. 吸収性人工靱帯:グンゼ株式会社にて製品化。慈恵医科大学、奈良医科大学にて治験中 (国内1)
  4. 人工膝関節用高耐久性ポリエチレン:ナカシマプロペラ株式会社と製品化プロジェクトを立ち上げました。科学技術振興財団より委託開発課題として採択をいただきました(国内2)
  5. 熱融着型骨固定紐:グンゼ株式会社と共同開発(国内2)
  6. 軟骨再生用創外器具:ナカシマプロペラ株式会社と共同開発。(国内1)
  7. 癒着防止膜:JMS株式会社と実用化検討中。「多孔性癒着防止材」(国内1)
  8. 人工関節用多方向摩耗試験機:MSテック株式会社と製品化検討中
  9. 再生型人工関節:ナカシマプロペラ株式会社と共同開発。(国内1)
  10. 練習用テニスラケット:工学部松久研究室と共同開発、製品化検討中。(国内1)
  11. 磁石を用いた再生型人工関節:ピップ東京株式会社と共同開発。(国内2)
  12. 手術用温冷覚測定装置:実用化検討中。(国内1)
【その他の発明特許:国内10件、米国1件、独、仏、英、蘭、1件】